講談社が運営する小説投稿サイト『セルバンテス』のアートディレクションとデザインを担当しました。

 本にまつわる仕事ですが、今回は書籍の装丁や雑誌のレイアウトをするのではなく、紙に線を引いて原稿用紙をつくる、そんな仕事です。
 文芸誌や文庫本といったオールドメディアの匂いを残しつつ、ネットのテキストカルチャーやゲームなどの新しい媒体と近接し、それらをバックグラウンドに持つ新旧様々な世代の書き手がジャンルに囚われない幅の広い表現活動を行える場になるようデザインしました。エディトリアルデザインの素養とテキストサイトやゲームUIの文脈をかけ合わせるイメージで制作しています。
 ユーザーとともに新しいカルチャーをつくっていく、ここからカルチャーを育てていく、そのための下地になるデザインです。

 最小限に抑えたサイトの構成とともにUI自体も、極小のアイコン、左上の三角形、それぞれの罫線、ミニマルな配色、1つの背景……と要素の全てに役割を持たせて、それ以外にあしらいを施さない、極めてシンプルなデザインです。それがサイトのアイデンティティとなり得るレベルを模索しました。
 筆者には投稿しやすく、読者には読みやすい、デバイスに合わせた最適な執筆&読書体験を目指しています。

 ロゴは風車に立ち向かう老騎士ドン・キホーテとその愛馬ロシナンテをモチーフに、このサイトを引っ張って行く、勇ましさと滑稽さのシンボルのような存在です。

 まだオープンして間もない、ユーザーさんや運営側の意向を受け止められる器の状態です。これからサイトの盛り上がりを通して、さらに良いサイトになっていきます。
CL: 講談社 / DR: Yellow Workers / AD&D: 奥山太貴 / D: 河野美春